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町会との板ばさみ

多くの葬儀は、ご近所、町会、会社関係など色々な立場のさまざまな方の協力のもとに行われます。

お手伝いする内容は、葬儀式場となる地域会館や駐車場の手配、遺族の食事の世話、買出し、受付の手伝いなどです。
これらは、地域の取り決めや、式場がどこであるかによって関わり方に違いはありますが、当家の心身共の疲れを気遣い、細々した事まで配慮しお手伝いくださるのは、お互い様とは言えどれだけ当家にとってありがたいことかと思います。

特に町会長は、昼夜を問わず不幸ごとの連絡を受け、地域会館の確保や町会の方への連絡など、利害や損得のない奉仕活動には頭の下がる思いです。
そのような町会長は、どのお方も言葉のひとつひとつにご自身の豊かな経験を垣間見る事ができ、当家の気持ちを尊重され、出すぎず、余計な事は言わず、的の付いた内容でお話されます。だからでしょうか、町会の雰囲気も和やかに感じられます。

ところが「これは、ちょっと・・・」と思えるような町会長がいらっしゃるのも事実です。

今年の夏、突然「どこの葬儀屋さんもそうなのでしょうか」との言葉から始まる電話がありました。年配の女性の方で、この度ご自身が班長をされている町内で不幸事があり、その葬儀がもとで、当家と気まずい関係になってしまった、とおっしゃられるのです。

当家は、葬儀社を選ぶのに、病院から勧められた葬儀社が、寝台車で自宅まで搬送する間とても親切だったので、そこに葬儀を依頼しょうか迷っておられたそうです。
たまたま私どもの評判を聞いていたこの方が「いい葬儀屋さんがあるらしいよ」とお話されていた時に、町会長が来られ「この地域は決まった葬儀社があるから、他の葬儀社はダメだ」と強い口調で言われたというのです。
ですが、当家もこの方も、その葬儀社が古くからあると言うだけで価格が高く、内容も伴っていないと評判を聞いていたので、当家が「地域の会館を使わず、自宅で行うので葬儀社は自分で選ぶ」と拒否したらしいのですが、町会長は「それでも他の葬儀社はダメ」と突っぱねたそうです。
結局、この方は班長という自分の立場から、町会に楯突くわけにもいかず、当家をかばい切れないまま町会長の言う"町会指定の葬儀社"に依頼、で強引に決定。

けれども、これだけで話は終わらず、故人が料理店に働いていた関係で、故人も満足するだろうと通夜料理はそちらに手配し、時間になれば届くという段で、町会長が連れて来たのは"葬儀社専属の料理店"。
当家が「手配済み」との話をされたにも関わらず、前例を作りたくなかったのか、やはりそれも許さなかったそうです。

葬儀終了後、この方は「町会での立場とは言うものの、自分は何故もっと強く当家と同じように町会長に言わなかったのか。今となっては、当家が私に対して、町会に味方したからこうなったと思われているようで・・・心なしか以前のようではなく冷たくなったように思われる。公共の地域の会館であるにも関わらず、ここまで町会長の立場を利用し、特定の葬儀社だけを優遇するのは、何かあるとしか思えない、然るべき所に今から相談に行く」と、怒りをあらわに一気に話しをされました。

確かに私どもでも、地元や他市に於いて町会指定とうたっていただいている所もありますが、あくまでも葬儀社を選ぶのは当家。
ですから、当家の親族や友人に葬儀に携わる方がいたり、互助会に入っていたりなどが理由で、必ずしも毎回私どもに葬儀を依頼いただく訳ではありません。
だからと言って、私どもでは、その事に目くじらを立てる事もなく、葬儀業者として良識ある、わきまえた対応をしております。

このように、葬儀社を決めるにあたり、町会の関わり方は地域によってかなり違いがあります。
多くの町会は一切口をはさまず、当家が自由に葬儀社を選んでいます、もちろんそれが、当然と言えば当然なのですが・・・とは対照的に、「この葬儀社は昔から色々お世話になり、町会に寄付もしてくれているから」あるいは「どこの葬儀社かわからない所に頼む分けに行かない」などのさまざまな理由で、町会や町会長が葬儀社を指定する地域があります。
また、「純粋に町会の方を想っての事」と言いながら、町会長が変わるたびに指定の葬儀社が変わるのはどうした理由からなのか、と利害関係があからさまにわかる地域も。
中には、周りの方から、ご自宅が「葬儀御殿」と呼ばれている町会長もおられ、実際そこまで特定の葬儀社を強引に薦めるのであれば"葬儀社の代理店として看板もしくは案内板を出せばいいのでは"と思ってしまう程です。

本当に心豊かな町会長が、純粋に町会の方の事を考えお世話してくださる中で、このような町会長がいらっしゃると言う事は、本当に悲しい事です。

お葬式は悲しさ故に避けて通りたいものですが、身近に経験した事で、人との関わりや、尊い命の重みを知るきっかけにもなります。
実際、「お葬式がきっかけで、町会が少し詳しくなって、知り合いの方も増え挨拶も交わすようになった。」と言う地域住民の声を耳にしました。
また、「子供達が、ただただ横たわるだけの物言わぬ故人を見、周囲の深い悲しみと嘆きを見た事で命の重みや大切さを、身を持って知った」と言う、大人達の話も聞きました。

それに加え、社会で問題となっている子供達が受ける悲惨な事件。このような事に巻き込まれる事のないように子供たちを見守る地域の結びつきや、人々が安全に平穏に暮らすためのより一層の地域の力が必要となってきています。
それなのに現実は、それに逆行するかの様に、地元で葬儀を行う事をやめ、ご近所との関わりを避け、離れた所で葬儀を執り行った方、あるいはそれを望まれている方が非常に多くなってきています。

理由のひとつがこのような事であるのならば、早く町会関係者によって改善され、一人でも多くの方が地元で、地域で、気持ちよく思った通りの葬儀ができるように、変えていかなければならないと強く思います。
葬儀の形は当家の考えが反映されたものである事が大切、と町会が理解、尊重し、温かく見守っていただくようにと願うばかりです。

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